会計士のデザインノート

ヒトとカネの交差点

会計士は過剰?不足?(2/2) 〜監査以外の市場

 
こんにちは、tomです。
 
前回の続きです。
 
前回のまとめ>
  • 会計士は過剰なのか?会計士は不足しているのか?
  • 監査市場では、市場規模と公認会計士の数の成長率からみれば、公認会計士は過剰気味である

 前回は「監査市場」について考えましたが、今回は「監査以外の市場」について考えていきます。

 

2.監査以外の市場
監査以外の業務は、非独占業務です。会計士じゃなくてもできる業務ですね。たとえば図にあるような税務、コンサル業務が代表的です。いまはコーポレートガバナンスコードが話題にあり、記事にあるような社外役員(特に監査役)もいま注目をあびています。
需要はそれなりに伸びたりしても、会計士以外の人材との競合により供給は過剰気味かもしれません。
 
図には、会計士の監査市場とそれ以外の市場規模の推計を表してみました。
(推計方法は15分くらいで考えたざっくりロジックとさらっとネットで集めた資料だけなので、数値はご参考までに。)
 

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この図でいいたいのは
  • 本業監査から右にむかって、どんどん市場のテリトリーを広げていっている
  • 各市場は安定的ではあるが、徐々に全体のパイが減少しつつある(社外役員除く)
ということ。
 
とりあえず、それぞれの市場について、浅めに全体の感じをとらえてみましょう。
 
 
(1) 税務市場
最近、税理士協会との争い(会計士が登録手続のみで税理士資格がとれるのですが、これに税理士会が反発したもの)でも、継続的に研修すればいままでどおり登録手続のみで税理士資格をゲットできることになりました。テリトリーを盤石なものに。
しかしながら、
  • 中小企業社数、個人事業主数は10年以上減少を続けている
  • 単なる記帳代行や申告業務の単価は下がってきている
ことから、市場規模は縮小していると推測されます。しかし、国際税務や相続税などのより専門的な分野については、今後増えていくとも予想されます。図の数値は推計ですが、税理士の年収から逆算しており、この点はうまく表せていないかもせれません。
ことから、供給は増えていくでしょう。
また、最近では、クラウド会計税務サービス(Freeeやマネーフォワードなど)の台頭によって、単なる記帳代行や税務申告は安価に取って代わられてきています。
そのため、税務業務に関していえば、今後は判断の余地が大きい組織再編、国際税務や相続税などのより専門的な分野しか生き残れなくなるのかもしれません。ただ、これらの分野はある程度の成長がみえても、なかなか全体を押し上げるほどの規模となるのは難しいでしょう。市場参加者の成長率を上回る市場成長は感覚的には微妙かと思います、、
 
 
コンサルは会計系・財務系では強いでしょうから。ある一定の市場パイはとれるとは思います。とはいえ、DDやバリュエーションなどなど各サービスは価格の引き下げ競争が激しいのが実態です、、、統計データはないですが、実務では目に見えるように単価の引き下げ圧力があります、、、
他にも、内部統制やコーポレートガバナンス、組織再編、IPO、PostM&Aなどなど監査などと親和性の高い業務は山ほどあるので、
  • 制度改正による対応が増える
  • IPOが増える
  • M&Aが増える
などがあれば市場規模は大きくなります。しかし、Gartnerのデータをみると、10〜20%の変動を行ったり来たり繰り返しており、需要の波はあるが、継続的に右肩あがりとはならなそうです、、
 
 
(3)社外役員(市場?)
社外役員は記事1.にあるように、マッチングしてテリトリーを拡大したい。
実際はどうか?産めよ増やせよでわっしょいわっしょいですが
・社外役員の枠=上場企業約3,000社×平均2人=約6,000人
といえますが、社外役員には、弁護士・会計士以外にも、同業他社で実績を残した方や同様のプロ経営者、などなど競合がたくさんいますからね。
こんな環境で、会計士協会がマッチングするサービスを開始するのは、まあ焼け石に水というか、ほんと影響が小さいかもしれませんね。全く定量的でないですが。
 
 
と、それぞれみてきましたが、だいぶ感覚論が多く雑なので、このテーマはまた深掘りしていきたいと思います。
 
全体感をまとめると、だいぶ会計士周辺の市場(需要)は急激な成長はいまのところ見込まれず、他方で供給サイドは増える見込みです。そのため、従来からの会計士周辺市場については、会計士の供給は過剰気味なのではないでしょうか。
 
とはいえ、「ヒトとカネの関わり」というのは、現代日本の資本主義社会ではなくならないものです。
 
<今回&前回のまとめ>
  • 会計士は過剰なのか?会計士は不足しているのか?
  • 監査市場では、市場規模と会計士の数の成長率からみれば、会計士は過剰気味である
  • 監査以外の市場では、会計士以外の競合プレイヤーの存在もあり、会計士の入り込むスペースは限られており過剰気味である
  • 入り込むスペースがあるとすれば、より専門領域か制度で規制されているセグメントである

 

それでは、また( -ω- )ノシ
tom