大塚家具の議決権争いからみるM&A実務 ~①スクイーズアウト手法の検討
こんにちわ。
今回は、今話題の大塚家具の議決権争いに関して、MBOどうなの?って記事がありましたので、気になる論点を書いていきたいと思います。
記事をまとめると、
- 66.7%(=2/3超)とれないとスクイーズアウトの決議が成立しない。
- 100%化を前提とするMBOは成立しえない。
ということが書いてあります。
この点、要点をわかりやすく、コンパクトにまとめられている記事だなぁと思います。ただ気になった個所も何点か。今回は、スクイーズアウトの手法については説明がなされていないため、補足しておきます。
記事には
議決権の3分の2以上を握った大株主は、残りの株式を保有する少数株主から、その保有株を、本人の意思とは無関係に強制的に買い上げ、会社を完全支配することができる。なぜ3分の2かと言えば、大株主が少数株主から保有株を強制取得するには、株主総会での特別決議が必要になる。3分の2以上を握れば、単独で特別決議に必要な議決権も掌握できるからだ。
(「大塚家具、久美子氏のMBOがありえないワケ | 企業戦略 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト」より)
という記載がありますが、具体的には何の決議か?というところですが、実は何種類か方法があるため、説明が省略されているのかと思います。
スクイーズアウトの手法は、主に下記の3種類かと思います。
いずれも、少数株主を会社が現金を支払って強制的に追い出す手法であり、株主総会の特別決議(2/3超で可決)が必要となります。
実務上は何が一番選ばれるかというと、全部取得条項付種類株式ですね。MBOではSPCとの合併も多くみられます。では、どれを選ぶのか?実務上は、下記のような枠組みで検討を行います。
- 税務:当事者の課税関係
- 法務:スケジュールや手続の手間、コスト、業法の制約
- その他:ビジネスプロセス、人事労務上の制約
会計がないではないか!という話もありますが、MBOでは非上場化されてしまうので正直あまり関心がないです。唯一関心があるとすれば、分配可能額などの問題がありますが、ここでは説明を割愛し機会があればまた説明したいと思います。
上記の枠組みの内容については、具体的に書いているとそれだけで1冊本がかけますので、興味がある方は実務本を読んでみてください。
なお、税務について、株式併合の改正ポイントを過去記事で紹介しています。改正ポイントとあわせて全部取得条項付種類株式との比較を説明していますので、こちらをご参考ください。(本記事でいうスクイーズアウトはキャッシュアウトとも呼ばれます)
以上のように、大塚家具の記事をとりあげて、M&A実務の片りんを少しだけご紹介しました。次回は、同記事のもう1点の疑問点について、紹介しますので、こうご期待。
それでは、また。( -ω- )ノシ
tom
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