会計士のデザインノート

ヒトとカネの交差点

会計士とデザインに何の関係が? ~デザイン原論

 

こんにちは、tomです。

 
 
今日は本業の会計・税務から離れて、「デザイン」について。 「デザイン」の考え方は本業に必要なことなのです。という話。(考えのきっかけは読書ノートのほうに近日アップ予定。)
 
 
私の現時点での個人的な見解ですが、
 
デザインとは、「ヒトと何かをつなげること、ヒトと何かをつなげる仕掛けや仕組みを作ること」だと考えています。
 
そして、私がやりたいのは、特に「ヒトとカネとの間のデザイン」です。 
 
これは、会計士として働き始めてからずっと考えてきたことです。
 
 
 
え?会計士の仕事でデザインとはどういうことだ?絵でもかくのかい?と思われたかもしれませんね。  
「絵をかく」という表現は、確かにそのとおりかもしれません。
 
たとえば、決算早期化とか業務改善コンサルというのは、「ヒト」-「仕組み」-「カネ」という「ヒト」と「カネ」を(効率的に)「仕組み」を描いてつなげる仕事。カネが出入りしたら帳簿に記録し、事後的にそれをみてどういうアクションをとればいいのかを考え実行する、そのプロセスの繰り返しをより時間と手間をかけずにできるようにする仕組みづくりを描く。ヒトやITがどこでどう関与して、最終的にヒトの意思決定や行動に影響させていきます。
 
 また、M&Aアドバイザリーは「ヒト」-「カネ」-「ヒト」のイメージで、法人という「ヒト」を売買するためのアドバイスをします。なんだかヒトの売買というと怪しいというか危ないイメージですが、、、会社(法人)の買収なので「いくらでかうのか?」「かったらいくらもうかるのか?」という「カネ」勘定を描くことが多いですが、それをすりあわせる買収交渉もやったりします。また、買った後は、業務改善コンサルと同様「仕組み」をそろえることもします。買収する側、される側で「仕組み」つまり社内制度ルールをそろえてあげないと、色んな非効率が生じるからです。買収後に会社の人達が気持ちよく働けるように仕組みなりルールなりを描くのも仕事です。
 
そんなこんなで、幸いにも、私は「会社という組織とそこで働くヒトをつなげる、またはつなげるためのデザインを考える」みたいな業務が多く、当初からの想いを仕事に活かすことができたと思います。
(無論、どんな仕事にも大切なマインドです。)
 
 
  
最近、上記の話を知人の建築家にしたら、こんなこといってました。
  
「コンサルって何やってるか全くイメージつかなかったんですけど、建築デザインと同じことやってるんですね。」と。 
 
「デザイン」っていう言葉はバズワード気味だし言葉でしかないですが、働いてきた実感として、デザイン的な機能はある程度果たしてきたし、まだまだこれからも提供していかなきゃなと思ったところです。
  
じゃあこれからの日本はどうなるの?って話についてすごくいいことを、佐々木俊尚氏がおっしゃっていました。
 
 
でもね、人間と人間の間を取り持つとか、人をマネージする仕事はなくならないんですよ。
(中略)しかも、優秀な人材はいつまでも減らないからそこを上手くまとめてくれるコーディネータは永久になくならないんです。

paraft.jp

 
「コーディネータ」という表現の厳密な定義はわかりませんが、「ヒト」と「ヒト」、「ヒト」と「仕組み(ITなど)」の話をしています。
 
高度に機能分化した社会になればなるほど、専門化は進みます。その一方で、環境の変化は著しく、社会の要請も多様化してきてる。当然、専門化された部分では解決できないイシューが生じます。そこで必要なのが「コーディネータ」という話。
 
 
最近、このことで、中小企業や個人事業主の方と会話する機会がありました。
 
クラウド会計サービスを使い始めたけど、結局、ある程度会計がわかっていないと使えない」
 
クラウド会計サービスは、銀行口座やクレジットカードを登録すれば自動で記帳してくれる便利な存在です。しかし、それがあってるのかあっていないのか、自動で処理できないものはどう判断し処理するのか、など100%すべてをITに任せることは、現時点では技術的に不可能です。
 
まさに私はその不可能な部分、「隙間」みたいなところについてご相談いただいていたのですが、ある程度「隙間を埋める」とか「つなぐ」ヒトがいないとまわらないんです。(もちろん未来では100%できるようになっていてほしい部分ではあります)
 
 
  
あとは「なにを」「どのように」「だれと」コーディネートしていくか(デザインするか)は、とても大事なイシューとなるでしょう。 (「いくらで」もいれておいたほうがいいかもしれません)
 
 
 
今後、会計士や税理士などの知識専門家の世界では、杓子定規な専門知識を扱うだけの人達はITに取って代わられていくはずです。それをどうヒトにつないでいくか、そこにITが介在できない付加価値があるのではないでしょうか。
 
 
それでは、また。( -ω- )ノシ
tom
 

 

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